繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

2023-01-01から1年間の記事一覧

人間であることの優位性

「緊縛」という言葉が(比較的)当たり前に使われ始めている昨今、その言葉の捉え方はあまりに多種多様になっている。そして、その言葉の認知が不一致することによる不運も多いと聞く。わたしが「緊縛」という言葉を知ったのは15年ほど前だった。 ある女性緊…

そのままの私。

強くない。 全然強くない。 強く見せないと、弱みに漬け込まれるから。 強く生きないと、命を削られるような思いをしてきたから。 でも、本当は弱い。 周りが思ってるより、ずっとずっと弱い。 その弱さを見せられるのは、貴方だけ。 貴方だけには私の弱さを…

異常性癖に生きる

貴方に会えば、絶望が待っていることはわかっている。それでも、会いたくなる。あの絶望に会いたくなる。 あの苦痛は、この世のどこにもない。それを求める自分が憎い。マゾという自分も嫌い。それでも、どうしてもやっぱりそこに戻らないと生きていけないの…

マゾという蟲と共に生きる

マゾが蠢き出せば、どうにも止まらなくなる。仕事をしていても、日常を送っても、その醜い欲は消えない。むしろ増大するだけだ。苦痛を求める声が仕事中に襲って、会議室に篭る。突然に涙が出てくるのは、子どもの頃から何一つ変わっていない。 どれだけ精神…

死を考え、生きるに至る。

いづれ、この世の全てに刺激がなくなることはあるのだろうか。痛みや苦痛を求め生き急ぐということは、命の終焉に急速に近づいているということではないか。 もっと、もっと壊されたい。破壊されたい。それでしかリアルを感じれなくなっている。大抵は想定の…

SMで遊ぶ、ということ

「SMで遊ぶ」と言う表現をし始めたのは、最近のように思う。これまでは、SMは主従関係の人とのみするものだと私は定義していた。でも最近は、SMで遊ぶ友人や、お店、場所がある。それを素直に楽しめていたりもする。 もちろん、遊べているのはパートナーであ…

恐怖に惚れる

彼が与える苦痛はいまだにそこが見えない。普段は穏やかで楽しいのに、突然の一言で堕とされる。男性器恐怖症のはずなのに、彼のそのものだけは無性に欲しくなり、居ても立っても居られないほどになる。私を逝かせ続け、壊し、そして現世に戻し、また壊す。…

美しく生きれなくても

私には今、いくつかの居場所がある。少なからず、遊んでくださる方もいる。そして、普遍的に穏やかに恐怖を感じれる特別な存在。 私はずっとずっと求めているものは主従だと思ってた。主従でしか満足できないと思ってた。ご主人様という絶対的な存在にひれ伏…

夢か現か

SMとはなにか、私が求めるものは何なのか、そんなことを問いただしてから10年以上の年月が経っている。頭で理論立てて自分の性癖を分析し、現実世界と折り合いをつけ、一定の範囲内でのSMをすることがほとんどになった。それは、私の被虐性を全てを吐き出せ…

またこの感情か。

自分の被虐性が憎い。自分の被支配欲が憎い。 何度だってこの状態になった。初めての主と別れた時、その次、その次、、、そして今回も...そうやって、この辛さを知るたびにSMから離れたくなって、それでも離れなくてその事実に絶望する。私にもし被虐性がな…

intercourse #1 恋愛

「逝け。」 声なんてとうに出ない。呼吸さえろくにさせてもらえない。ただただ快楽に溺れ、言葉に操られている。何時間経っただろう。どうやら夜が近づいているらしい。今日もまた何百回と逝かされ、私はそのまま意識を失ってしまうのだろう。 出会いは数ヶ…