繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

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discipline #39 コミュニケーションの方法

思い返せば、主と出会ってからの日々で苦しかったことなど一日もない。苦痛を与えられているのにも関わらず、毎日が本当に幸せで楽しく穏やか、ほとんど奇跡ともいうような日常を送っている。 主は私の精神状態を察知することが極めて得意だ。得意というレベ…

discipline #38 絶望こそ、加虐こそ

この感覚はいつぶりだ。初めて拷問縄でギブと言った日、鞭で痛みがなくなった日、股縄だけで吊られた日、私が一生忘れないであろう調教はいくつかあるけれど、その調教に匹敵する縄を受けていた。2時間前まで。まだ意識が現世に戻っていない。この文章は、…

discipline #37 苦しみと幸せと

discipline #36 旅路の続きです。 目覚めるとすでに明るくなっていた。主はまだ隣でお休みになっている。昨日の楽しかった様々を思い出し、思わず笑顔になった。まだ、静まり返っている旅館。その庭園を少し歩くことにした。 散歩のお供は、最近買ったカメラ…

discipline #36 旅路

主といる時間はなぜこんなにも幸せなのだろう。日常に溶けていくSMも、非日常な調教も、そして旅路でも、主の隣にいる私はいつも笑っている。 最近、主にお誘いをいただき温泉に行った。旅行の際は、その宿も移動手段もご飯も私が手配する。その、サブミッシ…

discipline #35 お守り

久々に自分の被虐性に苦しむ夜を過ごした。仕事やプライベートのイベントが重なり、縄の予定が複数回に亘って延期をしたから。 ある日の夕方に一人の時間ができ、被虐性が私を蝕み始めた。その強さは夜にピークを迎え、ありとあらゆる感覚が痛みを欲するよう…

discipline #34 呼吸

呼吸が止まる瞬間、すなわち死がすぐ側まで来ている時間がたまらなく好きだ。呼吸を止められるだけで、思考、動き、発声全てを止められてしまう。叫ぶことも許されない。どんな拘束よりも自由を奪われるその瞬間がたまなく好き。 主の縄は初めから呼吸制御が…

discipline #33サディスト

主との地理的距離の近さもあり、最近は日常と非日常の差があまりないように感じる。プレイ(といっても、セックスは全くしないが)の日だけでなく、主のお仕事場へのお見送り、休日の買い物、仕事終わりの呑みなど、そういったものも含めるとほとんど毎日と…

discipline #32 極上の苦痛を極上の空間で

私たちの部屋を作り始めて1ヶ月。想像を遥かに超えて、素敵な空間が出来上がっている。一つ一つを丁寧に作業していく幸せ。一緒に作業できる幸せ、そして、子どもの頃には「危ないから」とあらゆるものを制限されてた私にとって、電動ドリルや鋸を使うことも…

discipline #31 自然体

私たちが自然体でいられる時間はそれほど多くは無い。 社会的役割や家族での役割に応じて私たちはいくつもの面を使い分けている。完全に自分を解放できる時間は一人になった時くらいしか無いのでは無いかと思う。 主に出逢う前の私は、性癖を解放する時間で…

discipline #30 our place

出会って半年くらいから、自分たちの場所を作りたいという思いはずっとあった。縄ができて、落ち着いて過ごせる場所。できれば古民家、梁があって、好きな家具を入れて…。夢のまた夢のような話。 冬に熱海の古民家へ温泉旅行に行った時から、そんな思いはど…

discipline #29 床縄

床縄の恐ろしさは、その痛みを継続できる点にあると思う。吊り縄は体への負荷が大きな分、時間が限られている。そのため、たとえ苦しい痛みがあっても、その時間に耐えるのはそれほど長くはない。しかし、床縄はちがう。体を固定されてしまえば、その痛みか…

discipline #28 新年

慌ただしく過ぎた年の瀬が終わり、新年を迎えた。主との縄納め、初縄を経て、今年もまたこの縄を受けられる喜びを改めて感じる。 二人きりで縄サロンを貸し切った日、新しいスリップを持参した。「買ったの?」という何気ない一言がとても嬉しい。 縛り始め…

discipline #27 温と寒

(discipline #26 初冬 - 躾の記憶の続きです。) 真夜中に目が覚めた。外は漆黒の闇に包まれて凍えるような寒さだったが、山荘の中は穏やかな空気のままに時が流れている。 主が目を覚ます。自ずと縄をする空気になっていく。テーブルの上に座らされ、手を後…

discipline #26 初冬

季節が変化していく時期を美しいと思う。そんな素敵な時期に、主と旅に行くことができた。 主が助手席に座り、私が運転をする。男女ではなく主従を感じられるこの役目も幸福の1つ。旅行の前には主に楽しんでいただけそうなスポットを探し、過去のお言葉から…

discipline #25 性癖

女王様がボロボロの私に手を振っている。思わず笑顔が溢れる。久しぶりにお会いできた嬉しさで胸がいっぱいになる。 女王様との出会いは、主との出会いよりももっと前。私が野良だったころ、自分の被虐性に絶望し、ほとんど駆け込み寺のように伺ったSMバーで…

discipline #24 撮影

2人の縄とはまるで違う空気。ブログから繋がったご縁で撮影をしていただくことになったその日は、一縄から主の気迫がまるで違うものだった。 部屋の中は至ってシンプル。加虐性癖のもの、被虐性癖のもの、その二者の関係を撮影することが性癖のもの。シンプ…

discipline #23 苦痛の連鎖

「おい、起きろ、解くぞ」 そんな声をかけていただいて、自分が縛っていただいたまま寝てしまっていたと思いだす微睡の時間。この時間の至福は何物にも代えがたい。ついさっきまで私を限界まで追い込んでいた縄は、今は私を包む主の優しさそのものに変化して…

discipline #22 被虐性

保育園の頃、誰かが棚に落書きをして先生が怒っていた。もちろん私ではない。でも、先生はクラス全員に対してずっと怒っているし、犯人は出てこない。何故か私は「自分がした」と申し出た。(きっと私がそんなタイプではないことは分かっていたんだろう)保…

discipline #21 再びあの場所へ

限界まで追い込まれた先に、何が見えるのか。主と出会うまで、その景色を見てみたいとずっと思っていた。主と出会った3日後に私は自分の限界と思っていた場所を軽く超えていたし、今はそのずっとずっと先の場所まで連れてきてもらっている。 性癖としての加…

discipline #20 温度感

なぜ、これほどまでに苦しみを求めるのか、そんなことをこれまで何度も考えてきた。SMに出会った頃は、この性癖は家庭環境に起因するものだと思っていた。居場所を確かめるために痛めつけられたいのだと。だから、居場所を与えられたらこの世界から卒業でき…

discipline #19 夏

気がつけば、盛夏となり、蝉が朝からけたたましく鳴いている。目覚めたら主がいる朝の、あのなんとも言えない幸福感は何度経験してもたまらなく嬉しい。 昨日は、ご飯屋さんで粗相をしてしまい、厳しくお叱りを受けた。主は他者に迷惑をかけることについて非…

discipline #18 調教のその先

気づけば、今日で今年も半分が終わろうとしている。そして出会ってから、支配下に入ってから、8ヶ月が経った。 もちろん、この期間には色んなことがあって負の感情を抱く時間もあった。でも、その度に主の想いの強さ、私を支配下に置いている覚悟が見える。…

discipline #17 桃源郷

久しぶりのブログになってしまいました。 最近は私のプライベートに色々あって落ち着いてなかなか文章を書く気にもなれず。とりあえずひと段落したのでよかった。気がつけば5月も後半に入ろうとしてることに若干驚いています。 さて、今朝、突然、「たまには…

discipline #16 野外撮影

主との二人きりの週末。ホテルに着くと主は少しお疲れのようで休まれていた。 「あ、繭、来たか」 そんな言葉で体を引き寄せられるその時間が優しく暖かい。 主と出会ってから5ヶ月。いろんなことがあった。ここ1ヶ月は少し環境が変わったり、精神的に辛い…

discipline #15 最高のご褒美

ホテルの一室。微睡の中で主の胸に包まれている。主の足元にいる時の時間の流れは恐ろしく早く、一秒一秒が愛おしい。 昨日の夜は美しく縛ってくださった縄もあったし、苦痛に包まれる縄もあった。主の縄は私の感情を簡単に出すことができる。最高に幸せな時…

discipline #14 責め方さまざま

二日間、ひたすらに拷問縄を受けました。 もはや文章を美しく書く元気すら残ってないのですが(苦笑)、この記憶が薄れていく前に記しておきたかったのです。 ということで、雑記のような文章です。 乱文お許しください。 ①ポートレイト用の縄。久しぶりに自分…

discipline #13 責め縄

久しぶりのシティホテルでの調教の日はみぞれが降るような寒い日だった。次第にそれは雪に変わり、体の芯まで凍りつくような寒さとなっていく。でも、私の心は踊るように弾んでいて、主と会えることを心待ちにしている。ロビーのソファに座っていると、予想…

discipline #12 鞭

主に初めて出会った日、私は鞭の痛みで恐怖心を抱いた。その後の一週間はとにかくひたすらに叩かれ続けた。お尻が常に真っ青で、それでも叩き込まれ、主の痛みを覚えさせられた。この人には絶対に逆らってはダメなんだと強く認識した。 でも、その後、鞭で追…

discipline #11 主の縄だからこそ

サロンの縄床では次から次へと責め縄が続いている。一縛目が終わって、ゆっくり縄を解いていただいた後も、夢見心地な気分。その夢現の中でいろいろな方の縄を、責めを、みれるのも、また幸せな時間だ。 縄床が空いたタイミングで、さらに縄をかけていただけ…

discipline #10 責め縄の段階

ひたすらに苦痛が欲しくなっていたサロンに行く朝、主をお迎えに行く車の中でも私は自分の被虐性をおさえられなくなっていた。主の支配下でありながら、そんな感情でいっぱいになってしまう自分に少し苛立ってしまう。 主の家の前で車を停め、出られてくるの…