繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

discipline #16 野外撮影

主との二人きりの週末。ホテルに着くと主は少しお疲れのようで休まれていた。

 

「あ、繭、来たか」

そんな言葉で体を引き寄せられるその時間が優しく暖かい。

 

主と出会ってから5ヶ月。いろんなことがあった。ここ1ヶ月は少し環境が変わったり、精神的に辛いことも起きた。でも、この居場所や関係性は何も変わらずにいれた。いや、寧ろ、より一層、主のパートナーだと感じることが多かったかもしれない。私が、主を楽しませたい、支えたい、全てを捧げたいと思う気持ちと同じように、主も何があっても私のことを守る、と思われていると改めて実感できた。

 

主が微睡から目を覚まされて、少し飲みにいく。緊急事態宣言で行くことができなかった人気の焼き鳥屋さん。主は常連のようでそこの店員さんと仲良くお話しされている。そんな姿を見るのも嬉しい。お酒が入ると、主に甘えたくなる。ホテルまでの帰り道に、手を繋ぐことを許していただけた。

 

ホテルに帰ると、主のそのものをご奉仕する様に指示された。この行為を私が受け入れられることが何より嬉しい。変な言い方だけど、私が主のことを心から信頼できていると自分で確認できるから。そのまま久しぶりの挿入。怖さがないといえば嘘。でも、やはり快感の方が勝る。主が私を責められているという状況に優しさも感じられる。自分が過去に受けたことや、それに起因するPTSDを少しだけ忘れられる時間。

 

そして久しぶりに受ける責め縄。容赦無く攻め込まれる。呼吸が浅くなり生きることに必死になれる。

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そこに、余計な言葉はない。言葉なんてなくても通じ合える。さらに、主の汗が私の体に落ちてくると、主がいかに本気で私に対峙してくださっているか、より明確にわかる。ひと縄ひと縄に魂がこもったその縄は、まさに一縛入魂。決してファッションやセックスの延長ではない。お互いに持って生まれた性癖をぶつけ合う、いわば魂の会話のようなもの。

 

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一縛目が終わった頃には日付が変わっていた。そう、、この深夜に何をするかはあらかじめ教えて頂いてた。野外での撮影、私が最も苦手とする分野。

 

黒のTバックで、という指定を受け持参した下着を褒めていただき、とてもうれしくなる。でもやはり、これからのことを想像すると、否応に緊張が高まっていく。

 

コルセットをつけて、網タイツを履く。そして、久しぶりの首輪。ホテルの鏡には、自分ではない自分が映っていた。さらに縄で体を絞られる。股縄を施されると否応にも体が反応しはじめてる。この状態で本当にお散歩に行くのかと、怖くなっていた。

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それでも、行くしかない。私にその拒否権はない。

・・・夜中3時の街はとても静かだった。でも、だからこそ人の気配を感じやすい。私が変態だということを誰かに知られてしまうんじゃないかという怖さと、知られてしまいたいというマゾとしての欲求が重なる中で、主のカメラに撮られ続けた。

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驚くことに、撮影が始まりしばらくすると、私はこの状況を楽しみはじめていた。

 

コートを脱いで、主が施してくださった縄を写真に収めてほしいとさえ思う。でも、言う勇気はない、、、そんな葛藤が続く。

 

歩道橋を渡り、向こう岸に届く。そして来た道を戻る。このお散歩が終わってしまうことが寂しい。もっとこの格好でお散歩したいという欲求がどんどんと増大する。

 

「すごく変態なんですが、、コートを脱いで、撮影していただけないですか。」

 

ついに主に欲求を伝えてしまった。。。

主は周りの状況をよく確認しながら、私の願いを受け入れてくださるった。

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、、、あの調教から3日が経った。

あの夜は夢だったのか、あの快感はどこからくるものだったのか、そして、この写真に写っているのは、本当に私なのか、、、

 

 

まだ、私は夢の中にいるのではないかと思う。