繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

2022-01-01から1年間の記事一覧

discipline #42 躾けられているという状態

主との関係が2年を超えた。体も心も随分と躾けられ、変化してきたように感じている。例えば、私の体には縄や鞭でついた無数の痕がある。おそらく一生消えないであろうものも幾つかある。でも、その痕は私にとっては目に見える形での「主からの愛」であり、こ…

discipline #41 欲を見たい

加虐癖や被虐癖を持っている人の多くは、日常ではそれを隠し、一般の人と溶け込みながら生きている。その癖が強ければ強いほど、一般の人としての自分を演じ、社会に溶け込まないと生活のあらゆる面で支障をきたすと思う。 例えば、自分の被虐癖に気付けてい…

discipline #40 美しいものを求めるとき

縄を受けた夜、帰り道は決まって同じ曲を聴いている。上原ひろみのHaze。雑音や騒音を聞きたくないから。拷問縄を受けてすべての欲や苦しみが浄化された体には、美しいものしか入れたくなくなる。縄の後にすっかり寝てしまって、少しばかり体力の回復があれ…

column #8 成長欲

人間力を鍛えたい。 主の出会いや、主と出会ったことで生まれた新しいご縁、SNSから派生した繋がり、その中で私が魅力的だなと思う方は圧倒的に人間力が高い。 思考の中に確たる芯を持っていて、かつ、他者にそれをぶつけない。自分の承認欲求はその芯の部分…

discipline #39 コミュニケーションの方法

思い返せば、主と出会ってからの日々で苦しかったことなど一日もない。苦痛を与えられているのにも関わらず、毎日が本当に幸せで楽しく穏やか、ほとんど奇跡ともいうような日常を送っている。 主は私の精神状態を察知することが極めて得意だ。得意というレベ…

discipline #38 絶望こそ、加虐こそ

この感覚はいつぶりだ。初めて拷問縄でギブと言った日、鞭で痛みがなくなった日、股縄だけで吊られた日、私が一生忘れないであろう調教はいくつかあるけれど、その調教に匹敵する縄を受けていた。2時間前まで。まだ意識が現世に戻っていない。この文章は、…

discipline #37 苦しみと幸せと

discipline #36 旅路の続きです。 目覚めるとすでに明るくなっていた。主はまだ隣でお休みになっている。昨日の楽しかった様々を思い出し、思わず笑顔になった。まだ、静まり返っている旅館。その庭園を少し歩くことにした。 散歩のお供は、最近買ったカメラ…

discipline #36 旅路

主といる時間はなぜこんなにも幸せなのだろう。日常に溶けていくSMも、非日常な調教も、そして旅路でも、主の隣にいる私はいつも笑っている。 最近、主にお誘いをいただき温泉に行った。旅行の際は、その宿も移動手段もご飯も私が手配する。その、サブミッシ…

column #7 SMは暴力か

主がただただ、殴り、蹴り、抓り、私をサンドバッグのように扱う時がある。 完全な暴力だ。理由なんてなんとでもなる。気分が悪い、イライラすることがあった、私がミスをした、言葉が悪い。「お仕置きをする理由なんていくらでも作れる」と言ったのはいつか…

discipline #35 お守り

久々に自分の被虐性に苦しむ夜を過ごした。仕事やプライベートのイベントが重なり、縄の予定が複数回に亘って延期をしたから。 ある日の夕方に一人の時間ができ、被虐性が私を蝕み始めた。その強さは夜にピークを迎え、ありとあらゆる感覚が痛みを欲するよう…

column #6 サブな私の頭の中

サブである私が自分に課している唯一にして最大のミッションは「いかに主に楽しい時間を提供するか」です。これが達成できるのであればほとんど手段は問わない。ほとんど、と書いたのは、私や主の生命や生活などに大きく影響が及ぶことはできないからです。…

discipline #34 呼吸

呼吸が止まる瞬間、すなわち死がすぐ側まで来ている時間がたまらなく好きだ。呼吸を止められるだけで、思考、動き、発声全てを止められてしまう。叫ぶことも許されない。どんな拘束よりも自由を奪われるその瞬間がたまなく好き。 主の縄は初めから呼吸制御が…

discipline #33サディスト

主との地理的距離の近さもあり、最近は日常と非日常の差があまりないように感じる。プレイ(といっても、セックスは全くしないが)の日だけでなく、主のお仕事場へのお見送り、休日の買い物、仕事終わりの呑みなど、そういったものも含めるとほとんど毎日と…

column #5 パートナー?SM婚?

(ただの駄文で、個人的見解です。) なぜ、SMを求めるのか? なぜ、苦痛を求めるのか? なぜ、パートナーが必要なのか? 自分の中で整理することが重要では。分からないままに闇雲に遊んだり、パートナーを探しても心の穴は埋まらない。むしろ、嫌な思いを…

discipline #32 極上の苦痛を極上の空間で

私たちの部屋を作り始めて1ヶ月。想像を遥かに超えて、素敵な空間が出来上がっている。一つ一つを丁寧に作業していく幸せ。一緒に作業できる幸せ、そして、子どもの頃には「危ないから」とあらゆるものを制限されてた私にとって、電動ドリルや鋸を使うことも…

discipline #31 自然体

私たちが自然体でいられる時間はそれほど多くは無い。 社会的役割や家族での役割に応じて私たちはいくつもの面を使い分けている。完全に自分を解放できる時間は一人になった時くらいしか無いのでは無いかと思う。 主に出逢う前の私は、性癖を解放する時間で…

discipline #30 our place

出会って半年くらいから、自分たちの場所を作りたいという思いはずっとあった。縄ができて、落ち着いて過ごせる場所。できれば古民家、梁があって、好きな家具を入れて…。夢のまた夢のような話。 冬に熱海の古民家へ温泉旅行に行った時から、そんな思いはど…

discipline #29 床縄

床縄の恐ろしさは、その痛みを継続できる点にあると思う。吊り縄は体への負荷が大きな分、時間が限られている。そのため、たとえ苦しい痛みがあっても、その時間に耐えるのはそれほど長くはない。しかし、床縄はちがう。体を固定されてしまえば、その痛みか…

discipline #28 新年

慌ただしく過ぎた年の瀬が終わり、新年を迎えた。主との縄納め、初縄を経て、今年もまたこの縄を受けられる喜びを改めて感じる。 二人きりで縄サロンを貸し切った日、新しいスリップを持参した。「買ったの?」という何気ない一言がとても嬉しい。 縛り始め…