繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

2021-01-01から1年間の記事一覧

discipline #27 温と寒

(discipline #26 初冬 - 躾の記憶の続きです。) 真夜中に目が覚めた。外は漆黒の闇に包まれて凍えるような寒さだったが、山荘の中は穏やかな空気のままに時が流れている。 主が目を覚ます。自ずと縄をする空気になっていく。テーブルの上に座らされ、手を後…

Column #4 魔物

わたしの中には魔物がいる。それはいつだって私を闇の世界に誘おうとする。私を破滅に向かわせ、人生を台無しにするほどの力もある。 私は魔物とずっと戦ってきた。幼少の頃からずっと。そして、自分の魔物に気づかなかった13歳までを除いて、私はずっとそい…

discipline #26 初冬

季節が変化していく時期を美しいと思う。そんな素敵な時期に、主と旅に行くことができた。 主が助手席に座り、私が運転をする。男女ではなく主従を感じられるこの役目も幸福の1つ。旅行の前には主に楽しんでいただけそうなスポットを探し、過去のお言葉から…

慕情

貴方が好き。 貴方の笑う顔が好き。 貴方のおどけた顔が好き。 貴方の真剣に向き合ってくださるその姿勢が好き。 貴方の縄が好き。 貴方の縄に向き合う覚悟が好き。 貴方が私に与える徹底的な苦痛が好き。 貴方が私に見せる命の限界、その淵の景色が好き。 …

discipline #25 性癖

女王様がボロボロの私に手を振っている。思わず笑顔が溢れる。久しぶりにお会いできた嬉しさで胸がいっぱいになる。 女王様との出会いは、主との出会いよりももっと前。私が野良だったころ、自分の被虐性に絶望し、ほとんど駆け込み寺のように伺ったSMバーで…

discipline #24 撮影

2人の縄とはまるで違う空気。ブログから繋がったご縁で撮影をしていただくことになったその日は、一縄から主の気迫がまるで違うものだった。 部屋の中は至ってシンプル。加虐性癖のもの、被虐性癖のもの、その二者の関係を撮影することが性癖のもの。シンプ…

discipline #23 苦痛の連鎖

「おい、起きろ、解くぞ」 そんな声をかけていただいて、自分が縛っていただいたまま寝てしまっていたと思いだす微睡の時間。この時間の至福は何物にも代えがたい。ついさっきまで私を限界まで追い込んでいた縄は、今は私を包む主の優しさそのものに変化して…

discipline #22 被虐性

保育園の頃、誰かが棚に落書きをして先生が怒っていた。もちろん私ではない。でも、先生はクラス全員に対してずっと怒っているし、犯人は出てこない。何故か私は「自分がした」と申し出た。(きっと私がそんなタイプではないことは分かっていたんだろう)保…

column #3 ギブ&ギブの関係

「主従関係」を求める大きな理由は、精神状態の安定だと思う。自分の確たる居場所を認識し、自分の中にない軸をその居場所を得ることによって作っているような感覚。 「精神状態の安定」という大きなご恩をいただいているので、それ以上求めることがない。む…

discipline #21 再びあの場所へ

限界まで追い込まれた先に、何が見えるのか。主と出会うまで、その景色を見てみたいとずっと思っていた。主と出会った3日後に私は自分の限界と思っていた場所を軽く超えていたし、今はそのずっとずっと先の場所まで連れてきてもらっている。 性癖としての加…

discipline #20 温度感

なぜ、これほどまでに苦しみを求めるのか、そんなことをこれまで何度も考えてきた。SMに出会った頃は、この性癖は家庭環境に起因するものだと思っていた。居場所を確かめるために痛めつけられたいのだと。だから、居場所を与えられたらこの世界から卒業でき…

discipline #19 夏

気がつけば、盛夏となり、蝉が朝からけたたましく鳴いている。目覚めたら主がいる朝の、あのなんとも言えない幸福感は何度経験してもたまらなく嬉しい。 昨日は、ご飯屋さんで粗相をしてしまい、厳しくお叱りを受けた。主は他者に迷惑をかけることについて非…

discipline #18 調教のその先

気づけば、今日で今年も半分が終わろうとしている。そして出会ってから、支配下に入ってから、8ヶ月が経った。 もちろん、この期間には色んなことがあって負の感情を抱く時間もあった。でも、その度に主の想いの強さ、私を支配下に置いている覚悟が見える。…

discipline #17 桃源郷

久しぶりのブログになってしまいました。 最近は私のプライベートに色々あって落ち着いてなかなか文章を書く気にもなれず。とりあえずひと段落したのでよかった。気がつけば5月も後半に入ろうとしてることに若干驚いています。 さて、今朝、突然、「たまには…

discipline #16 野外撮影

主との二人きりの週末。ホテルに着くと主は少しお疲れのようで休まれていた。 「あ、繭、来たか」 そんな言葉で体を引き寄せられるその時間が優しく暖かい。 主と出会ってから5ヶ月。いろんなことがあった。ここ1ヶ月は少し環境が変わったり、精神的に辛い…

discipline #15 最高のご褒美

ホテルの一室。微睡の中で主の胸に包まれている。主の足元にいる時の時間の流れは恐ろしく早く、一秒一秒が愛おしい。 昨日の夜は美しく縛ってくださった縄もあったし、苦痛に包まれる縄もあった。主の縄は私の感情を簡単に出すことができる。最高に幸せな時…

discipline #14 責め方さまざま

二日間、ひたすらに拷問縄を受けました。 もはや文章を美しく書く元気すら残ってないのですが(苦笑)、この記憶が薄れていく前に記しておきたかったのです。 ということで、雑記のような文章です。 乱文お許しください。 ①ポートレイト用の縄。久しぶりに自分…

essay #1 主との関係性

主と出会って3ヶ月半が経った。被虐性を怖がることがなくなり、生活が充実し、主の足元の居場所を毎日感じれる日々。どれだけ考えても、私は幸せ者すぎる。 主と出会うまで、私は主の存在を全く知らなかった。これまで、どんなことをされて、どんなコミュニ…

discipline #13 責め縄

久しぶりのシティホテルでの調教の日はみぞれが降るような寒い日だった。次第にそれは雪に変わり、体の芯まで凍りつくような寒さとなっていく。でも、私の心は踊るように弾んでいて、主と会えることを心待ちにしている。ロビーのソファに座っていると、予想…

discipline #12 鞭

主に初めて出会った日、私は鞭の痛みで恐怖心を抱いた。その後の一週間はとにかくひたすらに叩かれ続けた。お尻が常に真っ青で、それでも叩き込まれ、主の痛みを覚えさせられた。この人には絶対に逆らってはダメなんだと強く認識した。 でも、その後、鞭で追…

discipline #11 主の縄だからこそ

サロンの縄床では次から次へと責め縄が続いている。一縛目が終わって、ゆっくり縄を解いていただいた後も、夢見心地な気分。その夢現の中でいろいろな方の縄を、責めを、みれるのも、また幸せな時間だ。 縄床が空いたタイミングで、さらに縄をかけていただけ…

discipline #10 責め縄の段階

ひたすらに苦痛が欲しくなっていたサロンに行く朝、主をお迎えに行く車の中でも私は自分の被虐性をおさえられなくなっていた。主の支配下でありながら、そんな感情でいっぱいになってしまう自分に少し苛立ってしまう。 主の家の前で車を停め、出られてくるの…

新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年はとにかく波乱の一年となりましたが、今年は落ち着いて自分自身を磨く一年にしたいと思っています。 新年早々に縄初めや鞭初めをしていただき、とても幸せな年明けとなり…