繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

discipline #21 再びあの場所へ

限界まで追い込まれた先に、何が見えるのか。主と出会うまで、その景色を見てみたいとずっと思っていた。主と出会った3日後に私は自分の限界と思っていた場所を軽く超えていたし、今はそのずっとずっと先の場所まで連れてきてもらっている。

性癖としての加虐と被虐がぶつかるその時間は、紛れもなく私たちの最高の時間で、そして、人には決して見せれない顔をお互いにしている。あの冷徹な顔を見せる主の元に泣きながら、怯えながら、それでも居たいと思えること、そのことこそ幸せなんだと思う。

主の怖さをわかっているから、普段「壊されたい」とか「ひたすらに痛めつけられたい」という思いを抱くことはほとんどなくなった。それでもたまにそういう感情が私の中で膨れ上がって爆発する時がある。この間の調教はそんな爆発の真っ只中にお誘いをいただいたものだった。

 

SMホテルの最大の利点は音を気にしなくて良いところ。本気の鞭は、その他のところでは出来ないのではないかとさえ思う。鞭の音も、私の叫び声も、この性癖を持たない人にとってはただの虐待か家庭内暴力の音でしかない。

スーツケースの中に鞭を見つけた。主が「お前が殺して欲しいって言ってたから」と。私のツイートを確認してくださってるんだ、と笑顔が溢れてしまう。でも、鞭はいつも縄の後。徹底的に責め込まれてから、更にとことんまで追い詰められる。

もちろん、縄にも妥協はない。徹底的な責め縄は主の愛情そのものだと思う。私を(いい意味での)実験台にして責めの強度を確かめられているその時間は至福そのもの。

 


f:id:mayu_submissive:20210828103056j:image

f:id:mayu_submissive:20210828103059j:image


足のバランスが難しいこの縄は少し体が動くだけで股縄やお腹を絞ってる縄がジリジリと私を責めていく。腕の辛さももちろんあるが、これは痺れない辛さ。(主の縄を受けているうちに痺れるものか、痺れないものかが分かってきた気がする)

f:id:mayu_submissive:20210828103219j:image

降ろされたのも束の間、今度は股縄から取った縄だけで体を吊られていく。手首の縄は解けているが、それで体の縄が緩むような柔な縄ではない。肘から下が動くだけで、私に自由は全くない。

f:id:mayu_submissive:20210828103146j:image

さらにもも吊り。この辺りから意識がなくなっていく。死ぬような感覚を持って初めて、自分が強く「生きたい」と思っていることが分かる。体が限界に達していくほどに、この後に鞭が来ることへの恐怖が強くなっていく。このまま、縄に浸りたいとさえ思ってくる。

f:id:mayu_submissive:20210828103253j:image

あの限界の場所に行きたい、でも、これ以上の苦痛を与えられたら私は壊れてしまうんでないか、彼の加虐性を全ては受け止められないんじゃないか、、、そんないろんな気持ちが頭の中が巡っていく。足の縄を解かれて、手を背中で折り曲げられる。鞭を打つ体勢になった瞬間、強く打たれた。

久しぶりの本気の鞭。やはりあの痛みはとんでもないものだったと体が思い出す。でももう、逃げ出すことはできない。この鞭を受け続けるしか私にはできない。

痛みから逃げて、限界だと叫び、それでも許されることはない。そのうち、頭も体もここからは逃げられないという事実を受け入れ始める。そうすると、足の先から少しずつ力が抜け始めていく。音の変わらない鞭が絶えず振らているのに、少しずつ余分な痛みがなくなっていく。瞬間の痛みがあるけれど、そのあと体が力むことがなくなっていく。いや、その力さえないのかもしれない。さらに打ち続けられると、瞬間の痛みさえ無くなっていく。そして、この場所にずっといたいという強烈な感覚が現れる。主の鞭を永遠と受けたいという気持ちが生まれ、心が暖かくなる。自分がトランスに入っていることが鮮明に分かるほどに、頭の中がクリアになる。そして、主が満足するまで打ち続けた後、鞭が動きを止める。

その後に、強烈に痛みがぶり返す。その痛みを全身で受けて、そしてその段階にきてやっと私は泣いていた。泣き出したら涙は止まらなくなって嗚咽のような号泣になっていく。主が私の泣き顔を見て笑ってる、その笑顔が嬉しくて、痛みで泣いてるのか幸せで泣いてるのかわからなくなっていた。

そのあと、お尻についた痕が左右対称でない、と10発打たれ、さらに数えている声が聞こえなかったと1発。それが終わってようやく私は許された。

f:id:mayu_submissive:20210828103318j:image

 

そのままお風呂に入ってこいと言われ、浴槽でお尻の痛みを感じながら暖かい気持ちで心が満たされていると、主が入ってこられて私に正座を命じられた。即座に正座し、そのまま放尿していただく。久々に、徹底的な調教を受けることができ、本当に幸せだった。