繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

discipline #27 温と寒

(discipline #26 初冬 - 躾の記憶の続きです。)

真夜中に目が覚めた。外は漆黒の闇に包まれて凍えるような寒さだったが、山荘の中は穏やかな空気のままに時が流れている。

主が目を覚ます。自ずと縄をする空気になっていく。テーブルの上に座らされ、手を後ろに差し出す。主の愉しみのための存在に変わっていく、この時間がとても好き。苦しんだ顔も、縄に心委ね安心している顔も、絶望に打ちひしがれる顔も、失神する顔も、主の愉しみのためなら、すべてを差し出したいと思う。SMは、普段は見せない顔も、生理現象も、すべてを見せることになる。しかし、主の前でそういう姿になることへの怖さはまるでない。どんな姿になったって、主は真正面から私を見て、更なる苦痛で抱きしめ、そして愛してくださる。その愛の深さがこの関係の根底にあると、最近痛感する。

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太ももを縛られ、体を完全に固定されるとそのまま吊り上げられた。呼吸が苦しくなり、少しの怖さが出てくると、その怖さを和らげるように口に縄が届く。この縄をかみしめることにより、頭が上がり、呼吸ができる。私の文字通りの”命綱”の役割を果たしている。

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主が私の体をゆっくりと回転させ始める。目をつぶり、シャッター音だけを感じる時間。絶望の中に温かな空気を感じられた。

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股縄からの縄を足された。苦しみから痛みへと苦痛のベクトルが変わっていく。意識が薄れていき、心地よい快感を感じ始めていた体に、痛みを思い出させる縄だった。そうやって、主は苦痛の種類を様々に変えて私を痛め続けることが多い。

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気付けば、痛みの中で気を失い、地上に戻っていた。全ての縄を解き終わった頃には、夜明けが近づく気配がしていた。

 

少しの微睡から目が覚めると、すでに日が昇り始めている。あっという間に山荘での遊びの終わりが近づいていることに、少しの悲しさを覚える朝だった。主が起きられ、少し外で撮影をしようと提案してくださる。珍しく上下に下着をつけ、撮影用の縄をかけてくださった。もちろん外は極寒。裸足では足が凍るような痛さになっていく。外で写真を撮ることはとても苦手なはずなのに、主の写真の中の私はいつも楽しそうで、外の空気を安心して味わえている。不思議なくらいにかつての私と違う私がそこにいる。

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山荘の周りを一通り撮影して、最後に紅葉の落ち葉の上で撮影していただいた。秋が終わり、冬に入っていくこの季節を主と一緒に味わえたことが何よりの誕生日プレゼントだった。

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