繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

prologue #2

初めて会った日から、主のことしか考えられなくなっていた。痛み、苦しみ、そして優しさ。その全てが私の求めていたものだった。

 

縄を思い出す、写真を見返す、そして、文字での会話。その度に私は主に強く惹かれていた。あの縄を再びかけられたいという思いが我慢できなくなっていた。

「今日の夜、お会いできませんか」

主は優しく、私の言葉を受け止めてくれた。

 

主の家には縄や鞭が所狭しと並べられていて、私が想像していたよりも遥かにこの世界の深いところに居られるということを感じた。

「全裸で縛って欲しいんだよね。」

私のサロンでの言葉をしっかりと覚えていてくれた、、、恥ずかしくも嬉しかった。

 

主の前で一枚ずつ服を脱いでいく。主が私の方を見ている、、、その時間、緊張や興奮もあったが、それ以上に普段は感じない安心感があった。見てもらえる、受け止めてもらえる、という感情が強かった。

 

「足を大きく開いて。手を頭の上にして腰を落として姿勢良く。」

主の強い言葉が私に刺さる。服従のポーズを覚えさせられてたのだ。主が私の姿を楽しんでいる、そのことに興奮した。

 

そして、私がお願いした縄の時間。あの苦しくもとても気持ち良い縄。素肌に受ける縄はサロンの時よりもずっとずっとたまらないものだった。

 

そのままお尻を何度も打たれた。紫の痣の上に重なる、新しい真紅の痣。たまらなく幸せな空間だった。

そんな時間が経つにつれ、この人に楽しんでいただけるような存在になりたい、この人の加虐性を見てみたい、そして受け止めたいという気持ちがもはや隠しきれなくなった。何より、私の全てを主に預けたかった。

 

「私を支配してください。奴隷にしてください。」

 

やっと言えた気持ちを主は受け止めてくださった。そして、強烈な鞭の痛みをいただけた。

 

私はこうして、主の支配下になった。

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