繭の記憶

あるマゾにまつわる物語。

discipline #8

「おかえり。お疲れ様。」

 

そんなお言葉で主は私を迎えてくださった。「おかえり」という言葉がとても嬉しい。帰る場所はやっぱり主の足元なのだと感じれるから。

 

晩ご飯は主手作りのカレー。相変わらずの美味しさで心もお腹も満たされる。そして主の足元でお話をする。

 

少しずつ空気が変わってきたのは、主が私の体に痛みを与えはじめ出したから。お腹、太ももを叩かれたり抓られたり、、じゃれあいのような空気から段々と調教のそれに変わって行く。

 

声を出すな、と言われて、太ももを強烈に抓られた、鞭の痛みとは全く違う痛み。余韻に浸れないのに、強烈に痛い。好きではない種類の痛みなはず、、、、。でも、主が楽しそう、笑ってらっしゃる、その表情が嬉しくて、その痛みさえ好きになってしまう。

 

そして、、差し出されたのは、タイトなワンピースだった。今日もまた苦手な分野を徹底的に躾けられるのだと、改めて感じる。

 

卑猥で淫乱な女を主張するようなそのワンピースに袖を通した私は、つい数時間前までの仕事をしていた私とはまるで違った。はしたなく感じるマゾが鏡の中にいた。

 

縄をかけられ、強引に胸を曝けさせられる。そこに加えられる金属製の洗濯バサミ。羞恥と苦痛が一気に広がる。

 

さらに内腿に加えられる洗濯バサミ。もはやどこが痛いのか、どこの痛みを感じているのか分からなくなる。

 

その日は手を縛られてはいなかった。自由に動けるはずなのに、それを取ることを決して許されていない状況にも、ひどく興奮してしまう。心を縛られているのだと感じることができるから。

 

意識が遠のきそうな苦痛の中、主は私をベランダへ連れて行った。簀の上で正座をさせられる。股縄がさらに食い込み、首を上げようとすると連動して胸の洗濯バサミが引っ張られる。苦痛から逃れる方法はない、苦痛に身を任せるしかない、と諦めると強烈な快感が襲ってきた。

 

私は主の奴隷。苦痛を与えていただけている。

主の愛情を感じ、苦痛に悶えるその瞬間が大好きだ。

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